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合格後の活躍を支えるインタラクティブな授業  江上弘幸さん

2022.10.20

合格後の活躍を支えるインタラクティブな授業

江上弘幸(えがみひろゆき)さん
シンガポール日本人学校小6から中3卒業まで4年間オービットに在籍。
筑波大学附属駒場高等学校から東京大学経済学部に進学。
東京大学 経済学学士。
シカゴ大学 公共政策修士。
政策研究大学院大学 政策研究博士。
大学卒業後日本銀行に入行。2021年4月から日本大学経済学部 専門研究 助教授。
 

世界とのつながりの深い仕事に従事し続ける

私は、日本大学経済学部で経済学とデータサイエンスを教えています。日本人、中国人、バングラデシュ人、メキシコ人と共同研究を行っているほか、日本、バングラデシュ、ウガンダをフィールドに研究をしています。以前は、日本銀行で働いていました。その頃も、国際会議にしばしば出席するなど世界とのつながりの深い仕事をしていました。

大学ではインタラクティブな授業が中心

私が大学で教えるときには、(1)学生に自分の考えを述べてもらう、もしくは記述してもらうこと、(2)(私に)質問をしてもらうことを大事にしています。小手先の知識を身につけるよりも、「ひとの説明を批判的(Critical)*1に聞いて、自分の意見を述べるor質問をする」ことに慣れることのほうが、学生が社会で活躍するうえで役に立つと信じているからです。
私が(1)(2)を重視するようになったのは、これらが得意ではない学生がいるどころか、重要なスキルとして認識できていない学生がいることに気がついたからです。一部の学生は、「練習したことのないことを要求されて困惑している」ようにみえました。そうした学生は、大学生になるまで、インタラクティブな授業を経験してこなかったのではないかと思います。 私にとっては、授業がインタラクティブであることは、当たり前のことです。
私は東京大学で学士(経済学)、シカゴ大学で修士(公共政策)、政策研究大学院大学で博士(政策研究)を取得しました。シカゴ大学には日本人がほとんどいませんし、政策研究大学院大学も日本人比率が1割未満でした。大学生活の間、グローバルに活躍するハイレベル人材に囲まれる幸運に恵まれました。当時の同僚は、世界各地に散らばり、政府の高級官僚となっていたり、有名企業で働いていたり、私のように大学教員になっていたりと様々です。彼らには、「自分の考えを他人に説明すること」「人の考えを聞いて質問すること」を苦手としている様子はみられませんでした。その点は、異なるバックグラウンド(文化、宗教、習慣など)を持っていても、皆に共通していました。
*1 批判的(Critical):日本では一般的にCritical Thinkingを「批判的思考」と訳すが、オービットでは「発展的思考」と言い換えている。Critical Thinkingとは、一面的、一つの角度から考えることに留まらず、様々な角度から、また派生する周辺の物事やテーマも含めて比較検証分析しながら論理的に考えていくことであるため、意味を重視し、「発展的思考」としている。

オービットではインタラクティブな授業が「当たり前」

インタラクティブな授業を私にとっての「当たり前」にしてくれたのは、オービットの授業だと思います。当時のことを思い返すと、数学、英語、国語、社会、理科、どの授業をとっても、生徒が自分の考えを教室のみんなに説明していた様子が思い出されます。淡々と講義をきいてノートを取り続けていた記憶はありません。たとえ間違った答えでも、自分の考えを説明することが求められました。どうしてその答えが正しいのか、どうしてその答えが間違っているのか、なぜその答えを書いたのか。どうして問題を解く時間が足りなくなったのか、どうすれば間に合うようになるのか。その知識は受験に必要なのか、受験に必要なくてもこの勉強をしておくのはなぜか。たくさんのやりとりが交わされました。私はそんなオービットの授業が大好きでした。中学校3年間の大切な時期に、質の高いインタラクティブな授業漬けにしてくれたオービットには、感謝の気持ちでいっぱいです。私自身3人のこどもを持ち、また、大学生に教えるようになったことで、よりいっそう感謝の気持ちが増しました。

熊野先生(在バンコク・当時の数学担当)からのメッセージ

ウガンダやバングラディッシュと、自分が行ったことも無いような国々と関係を持っての君の活躍はうらやましい限りです。学生時代の君は、あまりにインタラクティブすぎて、指導した先生たちをけっこう困らせたのでは?クイズ1問ですら、とことんこだわっていた君の姿を思い出します。 いつか君の子供を教えて、「この問題パパに出してごらん」なんてけしかけてみたいなとも思います。これもインタラクティブな授業の一つかなw。 因みに君が悩んでいたクイズは「受験生がお守りにタコの置物を机の上に置いています。なぜでしょう?」 覚えているかな?

江上弘幸さんの前回の投稿「金融の世界街道まっしぐら」(2013年12月26日付)はこちら

経済学博士 江上弘幸さんの特別書き下ろし「人間の行動や社会の変化を分析」(2022年10月22日付)はこちら