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日本発・全世界行を目指す科学編集記者 松田壮一郎さん

2013.12.19

ORBITでは,勉学だけではなく,人生の礎が養われた

MATUDA_SOICHIRO
松田壮一郎さん
1999年から2000年の約2年間,香港日本人中学2年から3年にかけて,私はORBIT香港校に在籍していた。帰国生枠の受験指導を受け,国際基督教大学高等学校に入学。1浪ののち東京大学理科Ⅱ類に入学し,農学部へ,そして大学院の新領域創成科学研究科へと進学した。修士号(生命科学)を取得し,いま私は,後藤塾長も愛読されていたという赤い表紙の月刊科学雑誌Nの編集記者をしている。
 

人生の基盤になったホームステイ

ORBITの友人,そして先生方とは今も交流がつづいている。当時の経験は記憶によく残っており,中でも,とくに有意義だったと感じる二つのポイントを挙げたい。

まず一つ目は,中学3年へ上がる春に参加したORBIT主催の「オーストラリアへの短期ホームステイ」だ。科学雑誌Nは純日本産の雑誌ではあるが,取材は国内外におよび,海外の写真エージェント等との直接の交渉も発生する。その業務では,最低限の英語力(実質的に科学界の第一言語でもある)と,異国に対する柔軟さと抵抗のなさが必要とされる。私にとって,その基盤の一つとなっているのは,ホストファミリーや,昼食に通った屋台のおじさんとの何気ない日々である。 このホームステイの時期には,本来,受験学年を目前にした春期講習があり,通常の塾であれば講習を優先すべきと言われるのであろう。しかしORBITでは,受験だけではなく,その先の人生も見すえて,教育をとらえていることを実感した経験でもあった。

苦手な数学にも興味

もう一つは,季節講習のある日,数学の授業での出来事である。後藤塾長が特別に教壇に立ち,「自分で証明できない公式は,使うべきではない」と仰った。裏を返せば,自分で証明できる,すなわち意味を理解する過程と結果的に得られる知識だけが,本当の意味で役に立つ,ということであろう。 この言葉は私にとって金言となり,私はむしろ数学が苦手であったが,興味を失うことはなかった。また,のちの大学受験への取り組み方,また科学への取り組み方を決定づけることにもなった。「常に物事の意味・本質を考える」ことを習慣づけてもらえた,と言えるだろう。

特集記事の取材で訪れているロンドンにて

松田壮一郎