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読書の夏!? 『先生の本棚』特別版

2016.07.26

長い夏休み。勉強はもちろん、旅行や趣味、短期留学、サマースクールなど、普段できないことにじっくり取り組む良い機会ですね。オービットとしてはぜひこの機会に、「読書」にも取り組んでもらいたいものです。そこで今回は、毎月発行しているオービット機関紙『プラネット』の1コーナー『先生の本棚』のWEB特別版として、過去に掲載した先生たちのおすすめ本とコメントを抜粋してご紹介します。
■満仲先生(教室長/国語・社会) 日本のいちばん長い日 決定版(半藤一利 文春文庫刊) おすすめ対象: 中学生以上 昭和20年8月15日-。「御前会議」「ポツダム宣言受諾」「玉音放送」といった一般国民には知る由もないその裏で、まさに現代日本のあり方が決せられた最も濃密な1日を克明に描写したノンフィクション。天皇の「ご聖断」を仰ぐ禁じ手に持ち込んだ粘り強い鈴木首相、降伏では国体が護持できないと徹底抗戦を主張する青年将校、陸軍の責任者であり板挟みになりつつも自刃で責任を果たした阿南陸軍大臣など、戦争終結派と徹底抗戦派の双方の思いがぶつかる緊迫感あふれる精緻な描写に思わず呑み込まれます。各々の苦悩、覚悟、葛藤、責任を思うと、戦争を始めるのは簡単でも、終えることはいかに難しいかをまざまざと見せつけられます。現代日本人必読のノンフィクションの傑作です。(満仲)
■浜田先生(教務主任/英語・算数/数学) アップフェルラント物語(田中芳樹 徳間文庫刊) おすすめ対象: 小学校5年生~高校生 1905年の中央ヨーロッパにある架空の国、アップフェルラントを舞台とした冒険活劇。偶然発見した囚われの少女に一目惚れしたスリの少年、ヴェルが主人公。天敵であるフライシャー警部と協力して女の子の救出作戦を決行するところから、この物語は始まります。小気味よいテンポの文体、魅力的なキャラクター達が交わす粋な会話を中心とした、「天空の城ラピュタ」を彷彿とさせるようなストーリーにのめりこめること間違いなしです!漫画版ではなく、ぜひ原作であるこの小説版を読んでください!(浜田)
■湯田先生(算数/数学) 少年探偵ブラウン シリーズ(ドナルド・ソボル 偕成社刊) おすすめ対象: 小学校3~4年生以上 主人公は「百科事典」というあだ名で周りから呼ばれる頭のよい小学5年生のロイ。夏休みに自宅のガレージで探偵事務所を開き、日常に起こるトラブルから大きな犯罪まで、いろいろな場面で観察力・推理力を発揮し、事件を解決していきます。各短編はストーリーの後、解答の前に「なぜ犯人が分かったのか?」と読者に向けて問いかけますので、ロイになったつもりで何度もじっくりと読み返し、探偵気分を味わいながら答え合わせに進みましょう。小学生の推理小説の入門として、オススメです。(湯田)
■内田先生(国語・社会) 風が強く吹いている(三浦しをん 新潮文庫刊) おすすめ対象:小学校高学年以上 ほとんど素人の10人が、箱根駅伝を目指す!……と、一見無謀な挑戦を描いた小説です。メンバーが「走ること」に打ち込む姿、彼らが箱根を疾走するスピード感あふれる文章に引き込まれ、夢中でページをめくりました。「厚い本は苦手」という人も、楽しく読める本です。スポーツ好きも、そうでもない人も、思い切り走ってみたくなるはずです。(内田)
■畠山先生(算数/数学・理科) フェルマーの最終定理(サイモン・シン 新潮文庫刊) おすすめ対象: 中学生以上 「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない。」みなさんは、この一文を目にしたことがありますか?17世紀の天才が、本の隅に書いたこの言葉は、後に300年間にわたり数学最大の問題になりました。「フェルマーの最終定理」に挑み続けた者たち、300年間の謎に終止符を打ち完全証明を成し遂げたワイルズの人生が描かれています。数学の定理が、どのようなドラマを経て教科書に登場しているのかを知ることができる大変良い本です。数学に対する気持ちが変わるかもしれませんよ。(畠山)
■鮫島先生(算数/数学・理科) モモ(ミヒャエル・エンデ 岩波少年文庫刊) おすすめ対象: 小学生以上 話を聞くだけで、その人の悩みを解決してしまう不思議な力をもった女の子「モモ」。「モモ」のまわりにはいつも大勢の人が集まってきていました。しかし、時間どろぼうの登場で、人間は人生を楽しむ「時間」を失ってしまうのです。この物語に登場する人々は、現代を生きる私たちの姿そのものを描いています。「時間」とは何か。また、「時間」の使い方を考えなおす良い機会になると思います。(鮫島)
■与謝野先生(英語) アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫刊) おすすめ対象: 中学生以上 人間の大部分が他の星に移住し、動物はほとんど絶滅してしまった、「世界最終大戦」後の地球を舞台にしたSF小説です。主人公のリックは、不法に逃走したアンドロイドを破壊することが仕事の賞金稼ぎです。人間とそっくりのアンドロイドと関わる中で、主人公は人間とは何か、自分もアンドロイドなのではないかと考え始めます。SF小説としての面白さだけでなく、様々なものがどんどん機械に取って代わられていく現代において、人間らしさとは何か考えさせられる一冊です。高校生は英語版(Do Androids Dream of Electric Sheep?)にもチャレンジしてみてください。(与謝野)
■比嘉先生(英語) ミイラになったブタ -自然界の生きたつながり-(スーザン・E・クインラン さえら書房刊) おすすめ対象: 小学校高学年以上 ハエや甲虫類が苦手、嫌いという人も多いのではないでしょうか?この本には、虫とミイラになったブタとの不思議な関係、捕食者のいない無人島でエサも豊富だったにも関わらず数千もいたトナカイがほぼいなくなってしまった謎、外敵から身を隠さなければいけないはずのチョウはなぜ鮮やかな色で美しく、優雅に飛んでいられるのかなど、生物学者が調べ上げた自然界のミステリーが14話集めてあります。それぞれ別の14話を読み進めるうちに、全体をまとめるひとつの流れ、自然界の生きたつながりが見えきます。新たな気づきや発見があり、これらの自然界の謎を解きながら読み進めても面白いです。(比嘉)
■井上先生(国語・英語) 阪急電車(有川浩 幻冬舎文庫刊) おすすめ対象: 小学校高学年以上 兵庫県の宝塚市と西宮市とを結ぶ片道わずか15分のローカル線とその8つの駅を舞台に、乗客の人生が様々に交差し、ストーリーを紡いでいきます。同僚に彼氏を横取りされたOL、夫に先立たれた老婦人、地方出身の大学生カップルなど、良くも悪くも人間味溢れる魅力的な登場人物たちがそれぞれ様々な感情や信念、経験に基づいた行動をとり、ときには他人の人生に大きな影響を与えていきます。人間同士のやり取りの美しい部分、醜い部分に触れ、他人との関わり方、自分自身の考えや行動の指針について考えることができます。2011年に公開された映画版も一見の価値ありです。(井上)