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【OB特別寄稿】 人間の行動や社会の変化を分析 第2回 政策研究博士 江上弘幸氏

2022.11.20

本稿はオービットOBの経済学者 江上弘幸氏(現在 日本大学経済学部 専門研究 助教授)が、「オービット生が知的に刺激されるような『知の探究』のための原稿を寄稿してほしい」というオービット太郎の依頼に応えて寄稿した書き下ろし原稿です。

全3回のシリーズ掲載です。

「第1回 統計的因果推論に魅せられて」(2022年10月20日投稿)も合わせてご覧ください。

第2回 研究者になる方法


今回はあまり知られていない社会科学研究者の生活を紹介します。

2.1. 研究者は向いていない、と思い込まなくていい


実は私は、大学生の頃にも、研究者になりたいとぼんやり思っていました。でも、結局自分には合わないと断念しました。研究をやってみましたが、のめり込むことができませんでした。当時私は、ネットワーク分析に関心があり、その分野の教員と親しくなりました。その教員はコンサルティング先の企業に連れて行ったり、勉強するべき本や論文を紹介したり、貴重なデータをくれたりしました。至れり尽くせりです。

ところが私は、ちっとものめり込むことができませんでした。紹介された論文を読む気にならなかったし、データをみてもアイデアが浮かびませんでした。のめり込むことができないと、本来の力を発揮できません。例えば、私は英語が得意だったのに、英語の論文を読もうとすると、うとうとして読み進められないのです。対して、英語が不得意な同僚が、英語の論文をすいすい読んでいるのをみて、ひどく驚いたのを覚えています。自分には研究は向いていないと思いました。

当時の私は、自分の能力に問題があると考えました。今振り返ると、自分に合ったテーマに出会っていなかっただけでした。

2.2. 夢中になれる何かがみつかったときに研究する


今は私は、自分が面白いと思ったことだけを研究しています。そうやって面白い研究だけをやっていると、ついには趣味のゲームよりも研究のほうが楽しいとすら、感じるようになりました。私は最近、ゲームといえばもっぱらポケモンです。

1年ほど前に、上位プレイヤーになって長男に自慢しようと思ってオンライン対戦をはじめたのですが、なかなか勝てません。勝てないとだんだん、「研究はいいなあ、やればやるだけ前にすすんで。それに比べてポケモンは一向にうまくならない」と思い始めて、研究のほうが楽しいような気がしてきます。ゲームも楽しいですが、研究は、一生続けてもやりたいことが終わりそうにありません。(続く)

  江上弘幸博士後記:

私の研究分野については、近年のノーベル経済学賞について解説した、この2つの記事が参考になるかと思います。

Diamond Online: ノーベル経済学賞受賞!3分でわかる因果推論と経済学の歴史

東京大学政策評価研究教育センター CREPECL-13 社会問題の因果関係を解明する「自然実験」の確立:ノーベル経済学賞2021

第3回は2022年12月1日(木)の予定です。  

「第1回 統計的因果推論に魅せられて」(2022.10.20掲載) へのオービット生からの反響


相澤珀人くん 中1 中学部在籍

今回この記事を読んで、普段自分が思っている思い込みも、ちゃんと検証することによって違う結果が見えてくるのだと感じることができました。特に、レストランの営業規制が必ずしも感染者を減らすわけではないというのは興味深かったです。

柳澤明澄さん 中1 中学部在籍

私はマスクのことが印象的でした。 なぜなら、マスクはただ暑いだけだし邪魔と思っていたけど、この記事を読んでからはマスクの効果を知り、マスクをつける意味を自分なりに考えることが出来ました。

A・O 中1 中学部在籍

私がこの記事を読んで考えさせられたことは、ついこの間まで他の仕事をやっていたのに、研究に専念したことで博士号を取得できたということです。今までは、自分の中で一回仕事についてしまったら新しい仕事につくのは時間がかかると思っていましたが、この記事を読んでとても考えさせられました。

K・S 中1 中学部在籍

この研究の記事は、難しい言葉をあまり使っていないことや、私の生活に身近な話が書いてあることなどもあり、とてもわかりやすい記事でした。

河野壱星くん G10 高等部在籍

I felt like this alumni’s work is highly relevant to what we experienced as individuals on a daily basis, especially during the pandemic. His work shows the effective and useful application of modern technology in science and everyday life. I believe that this method of testing is revolutionary as a risk and cost-cutting measure, and its potential in the field of inventing new ways to tackle problems is sky-high. I feel like orbit’s emphasis on thinking outside the box, and the importance of fully understanding everything we learn could help develop more students like him that are both logical and highly creative.

M・A G10 高等部在籍

統計的因果推論を用いると世の中のさまざまなことに気づかせてくれることに気づき、面白い研究の方法だなと私は思いました。

W・I G10 高等部在籍

この記事を読んで、統計因果推論について初めて知りました。そして私は記事に書いてあった未知の因果関係を解明できる統計因果推論の魅力をこの記事を通して感じました。普段当たり前のように感じていた因果関係や思い込みは実は科学的には違うのではないのかな、と。それについてさらに調べてみたくなりました。

Y・O G10 高等部在籍

It was intriguing being able to see that technology today has enabled us to experiment with things we were never able to do. The research done by the former student shows this clearly, it has a significant impact on today’s world. In my opinion, the method is a way that is efficient both cost and human labor wise. I agree with the methodology behind this, I think it is nearly impossible to consider, take in all factors as stated in the report. I also believe that science is separate from individual beliefs. While sciences are about a contingent of facts and truths. Beliefs may differ from person to person. So while there may be conclusive data that science proves. People may have the freedom, the choice to not do as science says.

R・S G10 高等部在籍

人が当たり前のように信じていた事が実は科学的に証明されてはいなかった、また一見関係ないように見えても、よく研究してみると因果関係が隠れていた、というような事例はかなりあるのではないかと思った。研究者からすれば容易に分かることでも、一般の人には想像できないことを視覚的に説明するのに使いやすいのではないか。

K・T G10 高等部在籍

The assistant professors’ words opened my eyes to the many paths that are available to me. He mentioned that he specializes in data analysis, which is such a minute topic in comparison to the broader concept of ‘data’; yet, there is so much to learn and uncover in data analysis. Reading his passage made me re-focus my thoughts toward finding a broader topic of interest, and squeezing it down to a small topic that I would want to study in the future. Perhaps his words gave me a sense of alertness as well, as I only have a short amount of time until I am in college.
 

江上弘幸氏の「卒業生の活躍・合格後の活躍を支えるインタラクティブな授業 2022年10月20日付」を合わせてご覧ください。