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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】「大学入学共通テスト」何が変わるのか?

2020.05.15

◆英語外部試験利用延期だけではない 数学・国語の記述問題出題の延期

1.「英語」

① アクセント問題、発音問題、語句入れ替え問題は出題されない。 当初の予定では英語4技能(読む、聞く、話す、書く)のうち、「話す、書く」は導入予定だった民間試験で、「読む、聞く」は共通テストでと、すみ分けることが予定されていました。ところが、突然の英語民間試験の導入延期。作問が間に合わないため、「読む、聞く」2 技能のみ測定する テスト実施という、何ともみっともない事態になりました。2021 年度には、共通テストに「話す、書く」が導入される可能性大です。(外部民間試験の利用は、2024 年度あたりから実施と言われています。) ② リスニング(聞く)の配点倍増 センター試験(筆記 200 点、リスニング 50 点…250 点満点)から配点を変更。2020 年度からの共通テストではリーディング(読む)とリスニング(聞く)でそれぞれ 100 点ずつの 200 点満点としました。 (リスニングは倍増) ③ リスニングに「1 回読み」問題が登場する。 センター試験のリスニング問題は、問題文を2回読むことになっていました。これが共通テストでは「2回読み」問題と「1回読み」問題の両方で構成されることになりました。 ④ 設問の言語が全て英語 センター試験は設問がすべて日本語でしたが、共通テストは設問も全て英語になる予定です。最近、高校入試でも英語での出題が増加しています。「言語科目は、その言語による出題」は当然です。 ⑤ 語彙数が増える……極端な長文化 共通テスト試行調査を見ると語彙数が大幅に増えると思われます。(=長文化) 今後ますますアカデミックな英文が増えるでしょう。 <共通一次・センター試験・共通テストの語彙数の変化> ・1988 年度 共通一次 約 2500 後 ・2019 年度 センター試験 約 4200 語 ・2019 年度実施 共通テスト試行調査 約 5400 語 <難関大学の個別試験語彙の概数> ・2019 年 東京大学前期 約 4200 語 ・2019 年 早稲田大学政経学部 約 3500 語 ・2019 年 慶応義塾大学 商学部 約 3100 語 60~80 分で 5000~6000 語のアカデミックな文章を理解、読解することが、専門科目を英語で学習する基本学力になります。 近い将来、「英語」を外部民間試験に切り換える場合、成績上位者の多くは、TOEFL や IELTS のような国際認知度の高い海外のテストを受験するはずです。これらの試験はいずれもアカデミックな長文を読み込み、理解しなければなりません。日本のナショナルテストとして打ち出すには、国際テストとある程度遜色ないレベルである必要があるのです。外部民間試験が利用されるまでは、試行錯誤が続くと思われます。英語は難化の一途をたどることは間違いありません。プラネット5月号

2.数学…PISA 型問題の出題(数学的リテラシーのチェック)

2019 年度共通テスト試行調査では、身近なテーマに関する問題文を読み、数学的知識を必要とする設問に答える問題が出題されました。問題文は長く、内容把握に時間かかりそうでした。共通テストでも、思考力を問い、身近な事象を数学・記号に置換する力を問う問題や数学的な知識、技能の理解を試される問題が出題されます。

3.国語…実用文が出題される

2019 年度共通テスト試行調査では、著作権について書かれたポスター、著作権法の条文、さらに著作権についての論説文が出題されました。 (2019年1月15日、大学入試センターによる英語の問題作成方針発表より。)

(続く)

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2020年5月号(2020年4月20日発行)に掲載された内容です。