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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】いよいよ抜本的な教育改革が開始される

2020.03.15

2020年、教育にとって大きな転換点となります。中学校・高等学校の学びが大きく変わります。あくまでも今年は大きな改革の転換点です。 戦後約70年、日本の大学は、知識の多寡がものをいう学力によって学生を選別してきました(=相対評価)。その結果によって学生たちはふるいにかけられ、出身大学の序列による日本型の学歴社会が形成されました。この学生選別の方法には多くの批判がありましたが、製造業と金融業を基幹産業にする社会(=産業社会)ではそれなりに有効に機能し、社会に有用な人材を輩出してきました。 1989年に東西冷戦が終結。1991年12月にはソ連が崩壊。軍需技術だったインターネッたインターネットの民生転換が進み、アメリカ・西ヨーロッパでは一歩先にコンピュータとICTによる情報社会に急速に移行しました。日本でも1990年代末頃から、本格的に移行。並行してグローバリゼーションの大波が世界中を席捲。中国の台頭と新興国の発展が起こりました。2010年代に起こった「人工知能(AI)・生命科学等の新しいテクノロジーの急速な発展」は、社会の構造を根本的に変えつつあります。同時に、出生率の低下と人口減が進行するという歴史上未曾有の事態に、先進諸国は直面しています。 単一基準による相対評価(1回のテストの得点で評価選別を行う入学試験)では、均質でステレオタイプな思考をする学生しか選抜できず、新しい時代に対応できる学生を選抜する方法の模索が行われています。

AO入試主流の時代がやってくる……コンピテンシー(行動特性)による選考

今後の大学入試では、様々なスキル・感性・活動経験を持ち、常識にとらわれない自由な発想を持つ学生選抜が可能なAO入試が主流になると思われます。 <2024年~2026年時点で予想されるAO枠の比率> ○難関私立大学AO入試枠(付属校、推薦も含む)……約65% ○難関国立大学AO入試枠(推薦も含む)………………約50% 下記のようなコンピテンシーによる選考が増えると思われます。 <今後増加が想定される難関大学AO枠例> (1)探究科目選択枠例 ① 応募条件:高等学校で4つの選択探究科目から1科目を選択、修了していること。 専攻分野に関連する探究科目の授業を能動的に選択、履修し、リサーチ、グループ活動等に積極的な取り組みを行い極めて優秀な成績を獲得していること。 ② 成績条件 ○選択した探究科目と関連科目 評定9.0(10段階評価) ○英語4技能外部テスト TOEFL 80以上 またはIELTS 6.0以上 (2)学外活動及び言語枠例: ① 応募条件:下記の3つの中から該当する実績、経験を持つこと。 ・国際協働プロジェクト、社会活動歴等への積極的な参加実績 ・音楽、ドラマ、各種アートのコンテスト等入賞履歴 ・日英に加えて第三言語を使うことができ、その言語が使われている地域の民族や社会に深い理解があること。 ② 成績条件 ○選択探究科目を履修する場合は評定8.0以上(10段階評価) ○GPA:7.5以上 ○英語:TOEFL 70以上 またはIELTS 5.5以上 ○第三言語を使用できる場合は、その言語の能力を証明する検定。(可能であれば) (3)国際バカロレア枠 ① 応募条件:国際バカロレアDPを取得していること。 ② 成績条件 ○スコア32以上でかつ志望コースの関連科目が6以上であること。 ○日本語Aのスコアが6以上であること。 各大学ともこれ以外に外国人枠があり、様々なAO入試枠で多様性の高い学生集団を獲得する努力が続いています。

(続く)

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2020年3月号(2020年2月20日発行)に掲載された内容です。