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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】豊橋技術科学大学…国立工科専門大学がグローバル化する

2018.12.15

豊橋技術科学大学(以下略称 TUT…Toyohashi University of Technology)は、1976年に実践的な技術・工学の教育・研究に重点をおく専門大学・大学院として、愛知県豊橋市に設立されました。(※)高等専門学校卒業生を主たる入学対象としている国立専門大学です(日本にはTUTと長岡技術科学大学の2校のみ)。中京圏にはトヨタ、ヤマハ、浜松ホトニクス(小柴昌俊博士のノーベル物理学賞受賞に貢献した素粒子観測装置カミオカンデの中核部品を製作したことで有名)など、日本を代表する製造業の本社・研究所の多くが集中しています。 この大学は工学部単一学部のもと、下記の5課程14専攻コース、それぞれの専門課程の大学院(博士課程前期、後期)を擁する学生数約2,000名の小規模大学です。 <TUTの課程・専攻と専門コース> 機械工学課程・専攻…………………4コース    電気・電子情報工学課程・専攻……4コース 情報・知能工学課程・専攻…………2コース    環境・生命工学課程・専攻…………2コース 建築・都市システム学課程・専攻…2コース  

高等専門学校生から大学・大学院までの一貫教育を行うTUT

高等専門学校からの学部3年次編入生が学部生の約8割を占め、極めて専門性の高い教育が行われています。さらにその約9割が博士前期課程(=修士課程)に進学しているため、学部3・4年次+博士課程1・2年次の計4年の一貫カリキュラムが整備されています(学部1年次から入学した約2割の学生は博士前期課程2年次修了までの6年間勉強することになります)。 ※高等専門学校:普通科の高1~大学2年次の計5年の実践的な専門教育を主として行う学校(修了すると短大相当)。近年は修了後に大学に編入し、学士のみならず修士の学位を取得する学生が増えています。  

G型大学へテイクオフするTUT

TUTは日英バイリンガル科学技術教育を国際的に展開するビジョンと取り組みにおいて高い評価を受け、文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援(Bタイプ)に採択されました。この構想に沿って2017年には「グローバル技術科学アーキテクト」養成コースを新設、実践的工学教育の国際化に果敢に取り組んでいます。  (1)すべてのコースに「グローバル技術科学アーキテクト養成コース」を設立。   〇 対象分野:5つの課程・専攻すべて   〇 学部1年次~博士前期課程修了まで6学年が対象  (2)日英バイリンガル授業   〇 教材、シラバスは英語、講義・質疑応答などは日英併用   〇 全学の開講科目のバイリンガル率94.5%(2022年目標)     卒業時…日本人学生TOEIC730点以上、国際学生日本語能力試験N1  (3)学生の多様化   〇 コース総数290名(日本人学生140名/国際学生150名:6学年合計)     →当コース生数は全学生数数の約15%。   〇 全学の国際学生比率を25%以上にする(2022年目標)  (4)6ヶ月間の専門性の高い実務訓練を行う(必須)   〇 学部4年後半~大学院1年次前半に実施。   〇 日本人学生は海外、国際学生は日本で実施。  (5)海外教育拠点(ペナン校)の設立   〇 マレーシア・ペナン島にあるトップレベルの国立専門大学であるマレーシア科学大学(USM)と提携提携授業、     第(4)項の海外実務訓練、中長期インターンシップ等を実施  (6)グローバル寄宿舎「技術究想舎」(新設)   〇 多文化共生空間を創造する(国際学生比率約25%)   〇 コース学生が居住する全寮制寄宿者   〇 学生主体の「技術究創舎運営会議」が、学習支援プログラム、各種イベントを企画

(続く)

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2018年12月号(2018年11月20日発行)に掲載された内容です。)