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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】大きく変わりはじめた京都大学の英語教育

2018.09.14

従来の京都大学は、数々の先鋭な先端研究とノーベル賞科学者を多数輩出する極めてアカデミックな風土ですが、グローバル化という点では他の旧帝大系国立大学の後塵を拝してきました。

国際高等教育院の設立…2言語教育体制の整備

2013年、リベラルアーツ教育の充実と「英語・日本語2言語で学ぶグローバルな高等教育」の構築を目的に、学部横断組織「国際高等教育院」を設立し、全学的な取り組みを開始しました。 この年、京都大学は国立大学改革強化推進事業に採択され、英語で授業できる教員採用に関する財政的援助を受けることになりました。こうした教員を2015度中に60名、その後100名まで大幅採用し、新しい英語による高等教育の体制が整いつつあります。

国際高等教育院が統括する5段階の英語教育の流れ

最終的に、幅広いリベラルアーツと学生の専攻分野を世界共通語=英語で理解、表現できるように、「体系化された日英二重言語教育-DLE」のシステムの構築を目指しています。

<1年生> ①英語4技能(読む、書く、聞く、話す)の強化 「英語リーディング」「英語アカデミックライティング・リスニング」の2種類のアカデミック英語のクラスを開講。英語で学習するための基礎を1年次にトレーニングします。4月、12月にTOEFL ITP(ペーパー形式の団体向けテスト)をベンチマークテストとして受験。スキルの伸長を測定、学生にフィードバックします。

<2年生> ②EAP (English for Academic Purpose) ・「学術目的の英語」 内容:幅広い分野の教養の涵養 獲得すべきスキル:英文での論文執筆、学術文献の読解、口頭発表、英語の講義の理解

<2年生以降> ③EGAP (English for General Academic purpose) ・「一般学術目的の英語」 一般的な、学術目的の英語の習得を目的にした講座。

④ESAP(English for Specific Academic Purpose)・「特定学術目的の英語」 「各分野研究者」「コンピューター技術者」「国際ビジネス」「弁護士」「医療専門職」等の専門領域、職業に特化した学術英語習得を目的にした講座。

⑤英語で行われる授業<E2科目> 二重言語教育(Dual Lingual Education)のコア科目。主として外国人教員が担当します。E2科目は自然科学、工学、社会科学から人文系まで幅広い分野の科目が開講され、科目数は今後さらに増える予定です。また、アクティブラーニングを活性化するため、英語を用いた討論、発表等のスキル向上を目指す科目<E3科目>も多数開講されています。

国際高等教育院が運営する①~⑤の講座は有機的に構成されていて、学生の英語運用能力が高まり、海外大学との提携留学・ダブルディグリーや海外大学修士課程進学者が増加することが期待されます。 日本で最初というべき「包括的な二重言語教育の実施」によりG型総合大学を目指す野心的な試みです。  

(続く)

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2018年9月号(2018年8月20日発行)に掲載された内容です。)