【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】 日本にいながらグローバルコンピテンスを 向上させる環境とは?③
2018.02.14
1.適切な高等学校の選択、進学
目的:多様性が高い環境に慣れ、国際共通語(英語)のスキルを身につけること①多様性(Diversity)を尊重する学校文化、同質圧力(Peer Pressure)が弱い風土であること。様々な国からの多数の帰国生が在籍していること。
②DLE(2重言語教育)の対応をしていること(「英語を学習する」ではなく「英語で学習する」への転換)。
③短期遊学や学期留学など、様々な海外プログラムが用意されていること。
④多様な進学志望方式(AO入試、推薦入試等)や海外大学進学に積極的かつ柔軟に対応する進路指導体制が整っていること。
高校3年2学期末までに獲得することが望ましいスキルは下記のものです。・英語力の目標(目安)
インター校生 TOEFL 100/IELTS 7.0 日本人学校生 TOEFL 80/IELTS 5.5
・PISA型の3つのリテラシー(「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」)を育成すること。
2.G型大学(※1)の環境を選択する
代表的なG型大学の例の一つとして、立命館アジア太平洋大学(APU)(※2)の例を挙げて説明しましょう。①外国籍留学生や外国籍教員が多く、出身国の多様性が高いこと。
APUは海外でもG型大学として認知度が高い大学です。「グローバルコンピテンシー育成環境」としては別格。約80ヶ国出身の留学生比率が何と約51%。国内随一の比率を誇ります。国際学生数(留学生数)が国内生より多い唯一の国内大学です。
②完全なバイリンガルキャンパス(学内共通語は英語と日本語)。
言語学習の授業も充実。中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、マレー・インドネシア語、スペイン語のアジア太平洋の6言語を基礎からしっかり学べます。加えて、留学生にネイティブスピーカーが多いので、これらの言語を実際に使うチャンスが多いことが大きなメリットです。
③可能であれば、外国人留学生が多い国際学生寮「APハウス」に入寮すること。
APハウスの定員は約1,300人。国際学生(留学生)と国内学生の比率は7:3です。国内学生(日本人)が完全に少数派なので日本文化の同質圧力はほとんど存在しません。APハウスにもレジデント・アシスタント(RA)と呼ばれる学生が居住、寮生の生活サポート、交流促進や異文化間の問題解決の役割を担っています。RAに任命されるのもグローバルコンピテンシーを大きく向上させる貴重な体験です。
④多くの専門科目が英・日2ヶ国語で開講されています。
深い内容のキャッチアップのために同じ科目を英・日2ヶ国語で受講することも可能です。近年、多くの大学が相次いで国際学生寮を増設し大きなブームになっていて、学生の間でも人気が上昇しています。3.交換留学
APUが提携している世界47か国・地域の海外の大学との交換留学制度を利用して1年間/半年間の留学に行くこと。英語力が十分であれば、留学中の授業がAPUの卒業単位に認定されます。交換留学の学費は、在籍する日本の学費と同等な金額なので、特に学費が高額な英語圏交換留学は極めて有利です。交換留学の経験が就職に有利なことは言うまでもありません。(続く)
※1 G型大学:社会のグローバル化に対応し、専門性の高いアカデミックな教育を行い、様々なグローバルスキルと育成し、各種の国際プロジェクトを通じて幅広い国際的な人脈の構築を目的とする大学のこと。 ※2 アジア太平洋大学(APU)http://www.apu.ac.jp/home/ (本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2018年2月号(2018年1月20日発行)に掲載された内容です。)