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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】 日本にいながらグローバルコンピテンスを 向上させる環境とは?①

2017.12.14

近年、グローバル人材養成の必要性は日本でも強調されていますが、旧来からの日本の教育システムではこうした人材はほとんど育ちません。「豊かな海外生活・学習体験」をもった学生、「アカデミックな英語の高い運用能力」を獲得した学生、「海外大学(大学院)進学者」などを増加させることが急務と言われています。しかし、その社会的要請に追いついていないのが実情です。 当分、グローバルコンピテンス(※1)の高い学生は、必ずや引く手あまたの人材になります。なぜなら、今後日本では人口がますます減少し、国内の市場が縮小していきます。市場の拡大が見込める海外で働く能力をもった日本人の人材が貴重な存在となるからです。

海外大学進学の3大障壁

グローバルコンピテンスを向上させる手っ取り早い方法は、英語圏(準英語圏)の大学に進学することです。しかし、日本人には海外大学進学を思い留まらせる3つの障壁があります。 ① 高額な留学費用…渡航費用、学費、生活費

最大の障壁は、もちろん留学費用です。英語圏の場合、年額で400万円~700万円くらいかかります。奨学金を狙うという方法がありますが、一般的に、かなり成績優秀か特殊な才能がないと、学士課程ではなかなか給付されません。

② 専門科目の授業をクリアできる英語力

学士課程で海外大学に進学する場合、英語力が大きなハードルとなります。TOEFLで90~100、IELTSで6.5~7.0というのが、有力大学の入学の条件です。

③ 治安

治安が悪い都市・地域だけでなく、人種的民族的偏見の強い保守的な風土の地域も避けた方がいいでしょう。安心して生活、勉強できる環境選択は留学成功の重要なポイントです。治安が比較的良好な英語圏の留学先としては、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アイルランドなどが挙げられます。

日本にいながらグローバルコンピテンスを向上させるには

海外大学進学を断念しても、日本にいながらグローバルコンピテンスを向上させるには次の3つの方法があります。 1.英語で専門科目の授業が開講されている大学・学科に進学する 下記の大学・学部はほぼ英語による授業のみで学士取得可能です。

◎国際教養系:

早稲田大国際教養、上智大国際教養、立教大グローバルリベラルアーツプログラム(GLAP)、立教大異文化コミュニケーション、同志社大学グローバルコミュニケーション、関西学院大国際、立命館大グローバル教養(2019年開講)、明治大国際日本 など

◎国際経営系学部:

上智大国際教養国際経営・経済学コース、立教大経営学部国際経営学科 など

◎経済系学部:

慶應義塾大経済Pearl、早稲田大政治経済EDESSA、上智大国際教養国際経営・経済学コース など

◎理工系学部:

名古屋大国際プログラム(自動車工学・物理系・化学系・生物系)、早稲田大基幹理工、創造理工、先進理工(英語学位プログラム)、上智大理工物質生命理工(英語グリーンサイエンス)、上智大理工機能創造理工(英語グリーンエンジニアリング) など

今後は経済経営系、理工系のコースが増えると思われます。

(続く)

(※1)グローバルコンピテンス OECDの国際テストPISA2018で導入される下記の資質・能力のこと。今後の教育で獲得すべき主たる資質・能力の一つになると考えられます。

①??? 言語運用能力も含めたグローバルなコミュニケーション力 ②??? 文化横断的・相互的な思考方法やグローバルな思考(多様性を尊重する感性・考え方) ③??? シチズンシップ:学校・地域・社会・国家・グローバル社会において、協働して問題を解決する能力や社会参画する意識・能力・資質 ④??? 地域的課題・自国の課題とグローバルな課題を関連付けて学ぶ能力

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2018年12月号(2017年11月20日発行)に掲載された内容です。)