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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】ようやく発表された2020年度以降の大学入試の方針③ 理数探究とは

2019.10.15

新選択科目「理数探究」(高校2・3年履修)に期待されること

2024年度大学入試共通テスト(略称「共通テスト」)からの新科目「理数探究」は、従来の科目群と比較するとかなり異質な科目と言えそうです。共通テストで出題されるという問題の難易度は高く、テーマは複合的。課題の扱い方が問題解決型で、実際の研究者の手法を使った出題が行われることになります。問題のパターン演習で慣れてきた生徒には全く手に負えないテストになり、実際の研究者として必要な資質とスキルを持った生徒を選考するテストになるでしょう。
今後、難関大学理工系学部、生命科学系を志望する生徒にとって、「理数探究」は実質的に履修が必須になり、この科目の出来不出来が合否の鍵になります。
「理数探究」の履修者は、探究のサイクルの実験を通して実際の研究者や企業のR&D(研究開発)スタッフと同様の実践的な体験を積むことになります。このサイクルを幾度も体験した学生は、理工分野のリサーチの基本イメージが掴め、明確な目的志向を持つ生徒が増えると思われます。(ある意味ではIBのScience HLと酷似した科目であることが予想されます。)
また、「理数探究」履修者はカリキュラムや科目に捉われない横断的で総合的なアプローチを課題に対して行うことで、様々な専攻分野に深い興味をもつことも期待されています。自然科学やテクノロジーの重要性がますます増しているにもかかわらず、優秀な学生の「理科離れ」「好奇心の減退」が深刻な問題となっている日本の状況に対する大きな突破口になるかもしれません。

新選択科目「理数探究基礎」、「理数探究」で探究学習の継続学習を

「理数探究」(高校2・3年)の前提履修の基礎科目として、「理数探究基礎」(高校1・2年)が設置されます。「理数探究」で使用する様々なツールやスキル、学習の手法を確実に獲得、運用できることがこの科目の主な目的です。
この両科目では、継続的に下記のようなモラル保持やスキル獲得が求められます。

<獲得が求められるモラル、実験、統計スキル>
〇参照した情報の信頼性に関する注意、出典の明記、データのねつ造や論文の盗用の問題性、生命倫理と人権への配慮などについて理解すること。
〇観察、実験、調査等についてのスキル……質や量による信頼性を高めたデータの収集方法や、サンプルの抽出方法、さらには記録の残し方。
〇統計ツールの理解と活用
・用いたデータの処理方法や変数の関係性を見いだすためのグラフ作成のスキル。(「理数探究基礎」において)
・数学科や情報科で学習する統計的な内容と関連させながら、得られたデータから実験結果を予測して実験を行ったり、理論値や数値シミュレーションから得られた結果と実験値とを比較、分析を行ったりするスキル。
・同様の内容に加えて、より高度な統計的手法である推定、仮説検証、(※)単回帰分析の運用能力。(「理数探究」において)
※単回帰分析:1つの目的変数を1つの説明変数で予測するデータ分析の基礎。
その2変量の間の関係性をY=aX+bという一次方程式の形で表します。
a(傾き)とb(Y切片)がわかれば、X(身長)からY(体重)を予測することができるわけです。

データサイエンス志望者にも極めて有効な「理数探究」

この科目は実践的なアプローチが多く、数学をツールとして数多く使うため、データサイエンティスト育成に有効であることはいうまでもありません。

(続く)

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2019年10月号(2019年9月20日発行)に掲載された内容です。)

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