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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】 大学入学センター試験の問題を時代遅れにした発見①

2018.03.15

2018年も、1月13~14日に、大学入試センター試験が行われました。多くの大学受験生が臨むこのテストに関して、毎年様々なコメントが出されます。

今年度は「地学 第6問 A」が天文・宇宙物理の世界に波紋を広げました。実はその問題、2017年8月17日12時41分04秒(協定世界時:Coordinated Universal Time)までは、全く「問題」なかったのですが、この時刻に地球に到来した重力波※が、元素についての人類の知識を変えてしまったのです。その結果、「地学 第6問 A」は時代遅れになってしまいました。(※重力波…拙稿参照http://orbit.edu.sg/topics/1494/)

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A. 宇宙の構成要素に関する次の文章を読み、下の問い(問1・問2)に答えよ。

宇宙は、恒星や星間物質など電磁波で直接観測できる物質(通常の物質)のほか、直接には観測できない構成要素(ダークマター、ダークエネルギー)からなると考えられている。(a)通常の物質は、水素とヘリウム、それ以外の重い元素から構成されている。

問1 上の文章中の下線部(a)に関連して、宇宙の元素について述べた文として最も適当なものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。

(1)炭素、酸素の一部はビッグバンによりつくられた。
(2)超新星爆発によって、鉄より重い元素がつくられた。
(3)種族IIの星は、種族Iの星にくらべて重い元素の割合が多い。
(4)ヘリウムの大部分は、恒星内部の核融合によりつくられた。

【平成30年度大学入試センター試験 地学 第6問 A 問1】

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これは、元素の起源についての知識を問う問題です。水、空気、岩石などの物体、人間を含む生物の体、太陽や惑星など天体といった通常の物質は、118種類ほどの基本原料-元素を組み合わせてできています。元素を整然と配列した表がご存じ「周期表」です(原子番号1-水素、原子番号2-ヘリウム、原子番号3-リチウム、水兵リーベ…と覚えたあれです)。

ビッグバンで水素とヘリウムが生まれた

この宇宙は約138億年前に「ビッグバン」と呼ばれる大爆発とともに生まれました。今回のテーマはビッグバンの後の話です。物質を構成する炭素や酸素や鉄といった元素は、138億年の宇宙の歴史のどこかの時点で、何らかの物理現象によって合成されたのです。

ビッグバンの際に合成されたのは、周期表のトップを占める水素とヘリウムと少量のリチウムです。したがって、選択肢の(1)は「炭素、酸素の一部はビッグバンによりつくられた」とありますが、炭素や酸素はビッグバン時点ではまだ存在しないので、×です。

ビッグバンからしばらく経つと、宇宙空間に散らばった水素やヘリウムが集まって、そこかしこに恒星が誕生し、輝きだしました。恒星の輝きは、水素などの原子核がくっつき合う「核融合」の輝きです。水素などの原子核がくっつき合うと、もっと大きな原子核が合成され、それとともに熱が発生します。こうして、恒星内部では炭素や窒素や酸素など、周期表の上の方に並ぶ元素が合成されます。
恒星内部の核融合では水素からヘリウムも合成されますが、ビッグバンで合成されたヘリウムの方が圧倒的に多いので、「(4)ヘリウムの大部分は、恒星内部の核融合によりつくられた」もまた×です。

宇宙には「重い元素」が増えてきた

恒星内部の核融合で合成されたヘリウムより重い元素は、恒星の大気が宇宙に流出する「星風(恒星風)」などによって、宇宙空間にばらまかれます。また他の過程(後述)によって作られた元素も宇宙空間に増えていきます。ビッグバン以来138億年間、宇宙空間には徐々に重い元素が増えてきました。

(続く)

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2018年3月号(2018年2月20日発行)に掲載された内容です。)

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