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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】 日本にいながらグローバルコンピテンスを 向上させる環境とは?②

2018.01.15

「英語で専門科目の授業が開講されている大学・学科に進学」だけではグローバルコンピテンシーを向上させる最良の環境とは言えません。なぜなら、英語環境はクラスの中だけ。日本の大学における英語の学習環境はESL環境(※1)ではなくEFL環境(※2)だからです。加えて教室を一歩出てしまえば、ほぼ日本人と日本語のみで、文化的均質性が高く、葛藤の少ない日本の環境です。自宅通学となればなおさらです。家族というノンバーバルコミュニケーションが通用しやすい居住環境では、こうした能力、資質は磨かれません。

海外大学進学でなくても、日本にいながらグローバルコンピテンシーを向上させる3つの方法のうち、今月号では2つ目の方法を紹介します。

2.国際学生寮という選択肢

近年、多くの大学が相次いで国際学生寮を増設し大きなブームになっていて、学生の間でも人気が上昇しています。

寮内留学というべき学習空間
留学生と日本人学生が多国籍・多文化というダイバーシティ(多様性)の高い環境で共同生活をする学生寮。それぞれの定員を決め、留学生比率を保持しています。

寮のレイアウトは「ルームシェア型」と「個室+共用スペース型」に分かれます。前者は留学生と日本人学生が部屋をシェア、バス・トイレ、洗面所等を共用します。後者は、プライバシーが守られる個室を用意、ダイニングキッチンやバス・トイレを共用します。どちらのタイプの国際学生寮も快適な居住環境だけでなく、入所者の交流を促し、コミュニケーション力、異文化理解力などのグローバルコンピテンシーを向上しやすい環境作りに重点が置かれています。学生たちは寮内留学というべき環境のなかで、濃密な時間を過ごします。

文化の違いで生じる摩擦を対話で乗り越える場
育った文化・環境が異なった外国人留学生と日常生活を過ごしていくと、様々なトラブルに遭遇します。例えば、宗教の違いからクリスマス・パーティーの開催の是非、「掃除は使用人の仕事」と嫌がる留学生たち。お祈りの時間やハラールフードの理解に至るまで、一緒に議論、相互理解しながら乗り越えることが必要となります。日本人にとって、当たり前のことが当たり前でない。「民族の数だけ異なる常識がある」ということを、身をもって知ることとなります。

寮の運営については、国際学生寮の多くが、寮の生活や行事をサポートする「レジデント・アシスタント(RA)」と呼ばれる学生を任命します。上記のような様々なトラブルに対処したり、議論のまとめ役としての役割を期待されたりします。彼ら(留学生も日本人学生双方とも)は起こる問題に対して対話によって説得したり、「落としどころ」を見つけたりして解決します。また、寮のパーティーなどの行事を企画、実行、管理します。まさにグローバル人材に必要なコンピテンシーが、「寮内留学」で養われていきます。したがって彼らは就職活動においても極めて高い評価を得ています。

教育寮としての役割
大学の正規の授業とは別に、英語(主に日本人対象)、日本語(主に留学生対象)のレッスンや様々なグループワークを独自に導入している寮があり、「学住接近」の試みが効果を上げています。

この取り組みは今後大きく広がりそうです。

※1:ESL English as Second Language(第二言語としての英語) 英語を共通語(日常言語、ビジネス、学術用語)として使用する環境。
※2:EFL English as Foreign Language(外国語としての英語) 英語を外国語として学習する環境。

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2018年1月号(2017年12月20日発行)に掲載された内容です。)

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