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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】 今後STEMと文系のダブル教育がエリートの条件となる①

2017.07.15

筆者は2010年前後から、STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)教育の重要性について注目してきました。ここで言うSTEM教育は「理工系志望者対象とした科学技術教育」という狭い意味での理工系教育ではなく、「変わりゆく社会に対応するために必要なSTEM教育」です。これに加えて社会科学や人文科学等の「文系教育」を受けることがエリート・リーダーの条件になるという意味です。

事実、欧米やアジアのエリートの多くは、学士課程(修士課程)で理工系学部を修了し、その後は博士課程に進まず、ビジネススクールや公共大学院等で政策実務や政治学・外交を勉強しています。彼らは理工系の基礎をしっかり学んだ後、各種文系のコースを修了し、全く異なる2種類の専攻を修了しています。

1990年代末以降に起こった自然科学、工学系の多くの新発見・技術革新は、2010年前後から大きく花を開きはじめました。変化の速度は急激で、「人間社会の在り様」を根本的に変える、従来人類が経験したことのない社会がそこに来ています。

今後のリーダー達は、「来るべき社会が如何なる社会になっていくのか?」、「来るべき社会ではどんな問題が起きそうか?」、「来るべき社会で如何に役に立つことができるか?」といった問いに解答をもっていることが必須条件になります。

したがって、自然科学、工学系の基礎知識、数学のリテラシー、文系の実務・教養を双方持つことが、組織の戦略判断をするトップ人材には必須になってきたと言えます。

特に自然科学とテクノロジーの進歩を震源とする下記の4つの変化に関する見識は極めて重要です。

人工知能の進歩、IoTの拡大が引き起こす社会の変化とは?

人工知能(AI)を中心にしたICT(情報技術)の進歩は急です。様々なモノ=デバイスがインターネットによって人工知能(コンピュータ)に接続され、多様で大量の情報が行き交うようになるIoT(モノのインターネット)が拡大します。事務所・工場の種々の機器からスマートフォン、タブレット端末、ドローン、車に取り付けられたセンサー、個人を識別する監視カメラまで、2020年時点で約530億個のデバイスが接続されていると予想され、年を追うごとにネットワークとデバイスの数と種類は増加していきます。これらのネットワークで発生した様々な情報・データ※が集積・分析・判断され、人間にフィードバックされ、仕組みの改良に利用されます。

スぺイン第2の都市バルセロナでは、市内全域をカバーしているネットワークセンサーから気温や騒音レベル、通行人の通行状況などの情報を入手し、公共サービスの向上に利用することは既に実現しています。シンガポールでも実験しているように、乗用車やバスの自動運転も、段階的に実現されていくでしょう。

利便性の向上だけでなく、個人のプライバシーや人権侵害といったマイナス面、事故が起こった時の責任はだれが負うのか? 等の困難な問題も予想されます。

人工知能、インターネット、IoTによっておこる徹底した社会変化を第4次産業革命(インダストリアル4.0)と呼んでいます。

※様々な情報・データ … ビッグデータの活用

生命科学の急激な発展によって人間の寿命が伸びると予想されていること

21世紀はバイオロジーの世紀と言われています。高校生物の教科書を見れば内容の変化・進展を実感できます。筆者が使用した1970年代の教科書の半分以上が既に書き換わっています。

当時、人間の遺伝子の全ての塩基配列の解読(ヒトゲノム計画)には100年ほどかかると言われていましたが、2003年に完了。この時点からバイオロジーは様々な関連分野も含め飛躍的な発展をとげています。

バイオテクノロジーの発展で2040年頃には平均寿命が100~120歳になると言われています。現在先進国の平均寿命は80歳前後ですから、30年くらい伸びることになります。そうすると社会構造は全く変わってしまいます。80歳過ぎまで社会的に活動することが珍しいことではなくなるかもしれません。

(続く)

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2017年7月号(2017年6月20日発行)に掲載された内容です。)

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