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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】 ノーベル賞について その3

2016.04.15

先月は号外解説『重力波によるゆがみが確かめられた!』でノーベル賞には直接関係ない話題になりましたが、今月は本来のノーベル賞のテーマに戻します。
ノーベル賞には「物理学」「化学」「生理学・医学」「経済学」「文学」「平和」の6賞があり。1901年に最初の選考が行われ、毎年1回各賞に1〜3人の受賞者が選ばれます。
選考は「物理学賞」「化学賞」、「経済学賞」の3部門についてはスウェーデン王立科学アカデミー、「生理学・医学賞」はカロリンスカ研究所、「平和賞」はノルウェー・ノーベル委員会、「文学賞」はスウェーデン・アカデミーがそれぞれ10月に行います。

今世紀の国籍別ノーベル賞受賞者数は?

近年のノーベル賞を取得した受賞者の国籍の分布はどうなっているのでしょうか? 選考者の政治的な立場や時代文脈に左右され易い、「文学賞」「平和賞」の2賞を除き、自然科学系の3賞と経済学賞に関して、ノーベル賞公式サイトから今世紀(2001年〜2015年)の国籍別受賞者数を調べ、表を作ってみました。

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ノーベル賞受賞者数はその国の経済力、人口、国民の文化の嗜好(理論志向か実践志向か)、基礎教育及び高等教育のレベル、国家の科学政策の在り方、移民政策等に大きく左右されます。
この15年間の4賞の受賞者は145人。トップは80.5人で圧倒的にアメリカ(何と約55%)。経済力の強さだけでなく二重国籍者の存在や移民受け入れの緩やかさもアメリカ国籍受賞者を多くしている大きな要因と言われています。2位イギリス15人。これに続くのは日本。移民、二重国籍研究者なしで13人は立派です。特に物理学賞6人、化学賞5人受賞は欧米以外では大きな存在感を持ちます。一昨年の赤崎勇氏、天野浩氏、昨年の梶田隆章氏の物理学賞連続受賞は記憶に新しいところです(中村修二氏はアメリカ国籍なのでカウントされません)。しかし、今後は以下の点からこのペースでの受賞は難しいかもしれません。

①日本が経済力を維持できるか?(政府や企業の研究開発援助に直結します。)
②理科好きの生徒の比率の低いこと(革新的先端研究には知的好奇心が重要であることは既に述べました。)
③教育レベルが下がったと言われている「ゆとり教育世代」による研究が今後選考対象になってくること
④各国の高等教育のグローバル化が進み、中国、韓国、インド等の研究者が受賞する可能性が増えること

意外に健闘している国がイスラエルです。人口わずか770万人の国が8人受賞(対して日本の人口約1.26億人)。この国の理数教育のレベルの高さは有名で、ユダヤ系企業との産学連携が緊密で、化学賞の分野で圧倒的な強みを見せています。

(続く)

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2016年4月号(2016年3月20日発行)に掲載された内容です。)

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